対談 - Inside promenade
 
 

 

本に書いてあるような話、世間で話されているような話
には、もううんざりした二人がここにしかない話を二人だけ
で話すことがもったいない気持ちになったことから、この
ような対談形式で紹介してみます。
inside promenade=内的散策

 
 
 
 
兜 仁
34歳
新潟県生まれ
ARTをしている
熊田 昌彦
34歳
埼玉県生まれ
小説を書いている
 
     
 

第七回 たゆやかなもの
 
その人が、世界の中心で愛を叫んだ男が死んだとして
その人を語るとき、叫んだ話は、したくないですね
熊田 したくないねえ
あいつ、あんとき叫んだんだよなあ〜って
したくない
熊田 したくない、してるんだよそういう話を
映画も多分そういう話だとおもう
叫ぶ気持ちはわかんなくはないんだけど
そういうふうにもなるだろうなあとは思うんだけども
今のこの話からすると、絶対話したくない
熊田 どういうこと?
話の主人公の経験はわからなくもないけど
ただ、そいつが死んでから、そんな話はしないなって、
熊田 しないな
まあ、ちょっとした一つの通過した話なんだろうなって、
それよりも、そいつを表す話ってのは違うところにあるなって、
熊田 だって、実際そいつが、すごい恋愛したっていう最中は、
まあ、間接的に会ってね、ああ、こいつうまく
いってるんだなとかそういうのは感じるかもしれないけど、
実際そいつらがいちゃいちゃしているのを見ているわけ
じゃないじゃない、そいつが恋愛を終わって、ばあっーと
いわれても、おもしろくもなんともない
なんも、おもしろくない
熊田 そんなの、おれらしらねえ、おまえだけの話だろって、
それが、大きく普遍させて、人の体験を、恋愛でも小説でも
映画でもなんでも、あんなん人のことでしょ、だって 。
ああ、わたしもこういうことあるっていうレベルの話でしょ
ふふふふ(笑)・・・そうだねえ、・・・そこはどうかな、まあ・・・
熊田 だから、、、

少女漫画でもなんでも、そこの主人公に
なるってことですよね結局、まあ、

熊田 うん、そう
それが共感
熊田 共感?共感ねえ・・・・
人の話なんだけど、自分の話にしちゃうっていう
熊田

ああ、わたしもわかるっていう・・・・

 
ふふふ(笑)、嫌いっぽいですね
熊田 ははは(笑)、なんかねえ・・・リアルじゃないんですよ
ああ、そういうことですか
熊田 共感させるやつ?、、共感させるんじゃなくて、
あれですね、こういうこといっちゃなんだけど、
一つ次元の上の話ですよね、
そこで共感とは違うんだよっていう目ってのは
ある意味、うん・・・、こういう言葉好きじゃないな・・・
高尚?高尚・・違うな、難しいなあ・・・・
熊田 まあ、いっていることはわかります
わかりますよね
熊田 そうですかね・・・・
そこの目を獲得することは難しいと思いますよ
熊田 難しいですかね
すごく、難しいですよ、熊田さんがどういう視点で
見てるのかは、なんとなくわかるんですよ、
だけど、一般的には、すごく難しいと思う
熊田 うん、うん

難しいっていうか、また時代のせいにするけど
例えるとするなら、職人だとか、今いないけど
インディアンの酋長とか、なんてんだ、ものすごく
いい生き方をしてきた人達の顔だとか手だとかを、
それを賞賛する文化ってないじゃないですか、

熊田 ないですねえ
多分、熊田さんの話って、そっち側の話
だと思うんですよ
熊田 うん、うん、うん、

そこから見たときに、恋愛の話なんて
若さの話、出会いの、特権みたいなことで
大きな人間の経験のスパンからいうと
ごく一部の話であって、もっと滋味豊かな話が
この大地にはブワッーとある。
だけど、今の時代の人ってのは、環境として
ここらへんの位の範囲でしか生きてないし、
しかも、その大きさを気づかせるような装置も
仕組みもないですよね

熊田 ないですね
もっと、そういう大きなところの文化ってのは
昔あったと思うんですよ、
そういうところを尊ぶってことが、すごくなくなった・・・・
熊田 ないですね
水木しげるとか大好きなんですよ、
熊田 ああ、いいですね水木しげる
あの人はすばらしい、人間としてなんか
熊田 いいですね
水木しげるは、愛って言葉使いたがらないんですよ
熊田 へえ、
愛なんか別にねえ、って
愛なんか、ねえんじゃないかな?って
熊田 はは(笑)、いいね
でも、一般的に言われる愛なんてものが
形としてあるとしたら、水木しげるはそういうのが
ものすごくたくさんある人だと思うんですよ
熊田 と、思いますよ
ただ、言葉にすると変になっちゃうから。
ああゆう人をすばらしいっていう文化っていうかなあ
熊田

ないですね、それを需要する、こちらの、
なんてのかなあ・・・、がないですよね

おれは、恋愛の話もあっていいと思うけど、
そのなんかね、大きなたゆやかなものってのを
大事にしたい
熊田 一部ですよ、恋愛なんて
  (つづく)
 
 
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