第十回 健康か、健康じゃないか、それだけ |
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熊田 |
こういうことばっかいってると、
じゃあ、おまえ何にも出来てねえ
じゃねえか 、出来てねえ、おまえに
なんか言われたくないよって、
それは違うと思う、 |
兜 |
キャリアで見たがる、 |
熊田 |
それ、おれ、一番くだらないと思う |
兜 |
キャリアとか、あとねオナニズムとか言う、 |
熊田 |
そうそう、そう、 |
兜 |
あれ、すげえ失礼だなあ |
熊田 |
ねえ、失礼だ |
兜 |
おれねえ、そこらへんてキャリアじゃないんですよ
健康か健康じゃないかなんですよ |
熊田 |
そうそう、そうそう(笑) |
兜 |
そうですよね |
熊田 |
正にそうです |
兜 |
気持ちが健康なのか、健康はこんな感じって
だけですからね |
熊田 |
そうですよ |
兜 |
健康って、そんな難しいことじゃないと
思うんですよ |
熊田 |
ないですよね |
兜 |
ここらへんの話はねえ、
あれですよ、評判悪いですよ |
熊田 |
あははは(笑)、どこに評判
悪いんですか? |
兜 |
いやいや、 |
熊田 |
みんな、全体に? |
兜 |
そうですよ |
熊田 |
そうかなあ、そこが評判悪いっていうか
そこが一番大事だと思うんですけどね |
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兜 |
そうです。健康であることは大事 |
熊田 |
すごい大事だと思う |
兜 |
なんかね、色々な意味や文化において
不健康なことが多いですよね |
熊田 |
多いですね |
兜 |
なんでもそうじゃないですか
不健康がカッコいいって、 |
熊田 |
そう、ちょっとねえ、退廃みたいな、 |
兜 |
そうそうそう、なんか壁にあたる
のような、アウトロー的なちょっと
ひねくれてますよね、三男がグレて
飛び出した的な話ですよね |
熊田 |
感じですね |
兜 |
そこで、水木しげるみたいなのが
健康でいいなって思うんですよね |
熊田 |
本当ですよ、赤塚不二夫とか |
兜 |
健康すねえ、 |
熊田 |
なんでだろ? |
兜 |
健康なデタラメとかあるじゃないですか?
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熊田 |
いやあ、全然ありますよ、うん |
兜 |
健康なカオスとか、 |
熊田 |
うん、どうしてカオスってなると
不健全になっちゃうんですかね? |
兜 |
おかしいですよね |
熊田 |
そういうこととは |
熊田 |
エキセントリックなことって、すごい
不健全に見られるじゃないですかねえ
なんかね、 |
兜 |
エキセントリックというと、SMだとか
なんとかって、 |
熊田 |
そうそうそう、なんでもこう狂気みたいな、 |
兜 |
サド侯爵とか、わかんねえけど、 |
熊田 |
そうそうそう、そういうふうに
結びつくじゃないですか
そんなことないんですよ
健康なエキセントリックだって全然あるんですよ |
兜 |
ウメズカズオみたいな、健康なああゆう(笑) |
熊田 |
そうそう、おれ、そっちの方がむしろ、
すごいリアルだと思うんだけどねえ |
兜 |
リアル、実態がありますよ |
熊田 |
なんかね、変態そのもののエキセントリックって
面白くないですよ、なんていうのかなあ |
兜 |
面白くないですよ、全然。 |
熊田 |
あれはねえ、簡単なんですよ、やれば
人間の元々もっている人間を殺したり
手首を切ったり、体をバラバラにしたりとか
人間の元々持っているもので |
兜 |
それをなんかね、極端な表現だなんだって
ありがたがる、 |
熊田 |
そうそう、あるでしょ、そういう風潮っていうか、 |
兜 |
それをねえ、心理分析の人が、ごちょごちょ、
ねえ解釈して難しくさせて、 |
熊田 |
そうそう、 |
兜 |
どうだっていいんですよ!あんなもんは! |
熊田 |
どうでもいい |
兜 |
心理学者もどうでもいいし、
その事件もどうでもいい、 |
熊田 |
どうでもいいですね |
兜 |
ワイドショーで流さなければいいんですよ、あれ |
熊田 |
あれはねえ、いらないですよ |
兜 |
一切いらないですよ、改悪しかなっていない
混乱しか、 |
熊田 |
混乱させておいて、まじめな顔をして、
どうしたらいいでしょうか?なんて
自分で混乱させているのを気づいていない |
兜 |
あれも一つのエンターテイメントだと、 |
熊田 |
そういうふうにまあ、見ればいいですけど |
兜 |
ていうか、局はそういう考えなんじゃないですか |
熊田 |
ああ、でも、見てるほうはさあ、
真剣に見るでしょ、結構 |
兜 |
うん真剣に見てますよ。由々しき問題だとかって |
熊田 |
そういうふうに流しているから
一般の人も、分析しだしたりして |
兜 |
おれ、あれに関しては、エンタテイメントだなんて
相対化はしないですわ、不健康なことはねえ、
相対化したくない。色々なもの相対化させるけど |
熊田 |
やっぱり、あそこはおかしいなあって物はねえ
別に相対化しなくていいんですよ |
兜 |
別に相対化やればできるんだけど
それを選択はしないですね |
熊田 |
うん。格好とか普通なんだけど、考えていることが
ものすごいエキセントリックとかは、すごくいいと思う、
そういうのは、いかにもさあ、エキセントリックやる
人って、格好からおかしくなっちゃうでしょ、
そういう風にしなければならないじゃないけど、
エキセントリックな人はそういう風体をしなければ
ならないというのが、どっかにあるんでしょうねえ |
兜 |
うん |
熊田 |
全身刺青を入れてみたりとか |
兜 |
全然簡単なことですもんねえ、やれるのは難しい
けど、発想は簡単 |
熊田 |
そう、発想は簡単なんですよ、だからねえ、
この前、読んだ本で、誰か忘れたけど
人の悪いこと、ナチの収容所で、どんどん釜
にいれて焼いちゃうとか、ああゆうことは
ものすごい陳腐であることを書いてあった |
兜 |
ああ |
熊田 |
人間の悪ってのは、すごい想像が簡単なことだって
いう、あんなものは想像力でもなんでもないっていう、
ことなんですよ、簡単なんですよ |
兜 |
なんで簡単かというと、いいの反対だから、
正しいの反対、 |
熊田 |
そう、考えてないんです |
兜 |
で、榊原君の犯罪をどっか、クリエイトで
見てますよね |
熊田 |
見てる。あんなん全然クリエイトじゃない |
兜 |
ああ、してないっすよ。あれ、クリエイトで見てる
から面白がっているんですよ |
熊田 |
榊原の文とかさ、あいつの家の部屋にさあ
首切った人形が置いてあったとかさあ |
兜 |
いやあ、陳腐なんですよねえ |
熊田 |
陳腐だねえ、本当にもう、貧しい発想が!
それを見て、なんてこの子は恐ろしい子だとか
いうでしょう |
兜 |
もうねえ、世間は、言わないけど
奇才(鬼才)だと思ってるんですよ |
熊田 |
そうです、そうです奇才ですよ |
兜 |
奇才って全然違う |
熊田 |
全然違う。もう全然わかってないよお |
兜 |
奇才って一番面白いのに、 |
熊田 |
そう、そういう奴に奇才だっていうことによって
奇才が落としめられていますよね
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兜 |
うん |
熊田 |
だから、不健全なエキセントリックもの
というのは面白くない |
兜 |
そう |
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(つづく) |